デリケートな場所だからこそ
知っておきたい薬の成分について。
配合成分と特徴
痔の市販薬の外箱や添付文書などには、その薬の配合成分が書かれています。
どんな成分がどんな作用をもつのか知っておくと、製品選びの際に大いに役立ちます。以下を参考にしてみてください。
痔の市販薬に配合される代表的な成分
下記の成分分類、作用は一例であり、市販薬によっては、同じ成分でも別の作用で記載されていることがあります。
局所麻酔成分
- 作用
- 痔の痛み・かゆみをやわらげる
- 代表的な成分名
- リドカイン、ジブカイン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル
抗炎症成分
- 作用
- 炎症を鎮める
- 代表的な成分名
-
【ステロイド】プレドニゾロン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル
【非ステロイド】グリチルレチン酸、リゾチーム塩酸塩
抗ヒスタミン成分
- 作用
- かゆみを鎮める
- 代表的な成分名
- ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩
血管収縮成分
- 作用
- 出血を抑える
- 代表的な成分名
- 塩酸テトラヒドロゾリン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩
殺菌消毒成分
- 作用
- 細菌による感染を防ぐ
- 代表的な成分名
- クロルへキシジン塩酸塩、セチルピリジニウム塩化物水和物
組織修復成分
- 作用
- 傷口の治癒を助ける
- 代表的な成分名
- アラントイン、アルミニウム・クロルヒドロキシアラントイネート(アルクロキサ)
ビタミン類
- 作用
- 血行の改善・創傷の治癒を促す
- 代表的な成分名
- トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE酢酸エステル)
生薬
- 作用
- 炎症を鎮めるなど
- 代表的な成分名
- シコン、セイヨウトチノキ種子(セイヨウトチノミ)
成分名について
なかには、お持ちの市販薬と上の表では、書かれている成分名が微妙に違っており、「前後の名称が入れ替わっている?」と思うものもあるかもしれません。これらはたいてい、成分名の表記が変わったためで、成分としては同じものです。
【例】
塩酸〇〇〇⇒〇〇〇塩酸塩
酢酸〇〇〇⇒〇〇〇酢酸エステル
〇〇部分が薬としての本体です。
ステロイド配合とステロイド非配合
痔の外用薬には、炎症を抑える作用が比較的強力なステロイドを配合した薬と、作用が比較的穏やかなステロイド非配合の薬の2種類があります。お求めの際には、まず薬局・薬店に自分の症状や体質などを伝え、どの薬がふさわしいか相談のうえ選びましょう。
ステロイド配合
- 作用
- 比較的強力に炎症を抑える
- 使用に適した状態
- はれ、出血などの症状の度合いが強い場合、化膿がない場合
- 注意点
- 患部が化膿している場合は、ステロイド配合のものは使ってはいけない(かえって症状が悪化してしまうおそれがある)
ステロイド非配合
- 作用
- 比較的おだやかに炎症を抑える
- 使用に適した状態
- はれ、出血などの症状の度合いが比較的強くない場合
- 注意点
- ステロイド非配合の商品によく使われるグリチルレチン酸は、漫然と長期連用するとまれに「顔や手足がむくむ」といった副作用を生じることがある
※市販の外用薬は10日間位、内服薬は1ヵ月位使用しても症状が良くならないときは、病院を受診しましょう。
- この記事の監修医師
- 岩垂 純一先生
- 黒川 彰夫先生
- 佐原 力三郎先生