大阪肛門科診療所 副院長 佐々木みのり 先生

佐々木みのり先生
プロフィール
大阪肛門科診療所 副院長
  • 1998年 大阪肛門病院(現 大阪肛門科診療所)勤務 皮膚科医から肛門科医へ転身
  • 日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医(Ⅱb領域=肛門科領域)
  • 日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病指導医(Ⅱb領域=肛門科領域)
大阪肛門科診療所
〒540-0035
大阪府大阪市中央区釣鐘町2-1-15

小麦や乳製品が下痢の原因になっていることも

食中毒やノロウイルスなどによる感染性の下痢は誰にでも起こりえますが、下痢体質のような方もおられ、どちらかというと成人男性に多い傾向があります。また当院に来られる患者さんの傾向では、女性で下痢気味な方は、なぜか多くの方が肥満です。これには食生活がかかわっているのではと考えています。
下痢のひとつの原因として、小麦に含まれるグルテンと乳製品に含まれるカゼインというタンパク質が腸の粘膜を荒らし、穴を開けてしまう病態があります。当院では便通指導として、グルテンフリーやカゼインフリーを勧めており、初診の患者さんには2週間、小麦と乳製品を抜いてもらいますが、それによって下痢の症状が改善しています。この病態は、潜在患者も含めると日本人の8割がそうだという説もあり、ひどくなれば、開いた腸の粘膜の穴から有害な物質が体内に取り込まれる危険もあります。腹部症状で悩んでいる方は、一度、小麦や乳製品を抜いてみるのも良いと思います。

便秘に効く食べ物は、裏を返せば下痢になりやすい

お酒は下痢を引き起こす原因の一つです。下痢までいかなくても、軟便や頻便になりやすいです。また、小麦、乳製品も下痢の原因と考えられますので、下痢になったときは、まずお酒、小麦、乳製品を避けていただくのが良いと思います。
それ以外に、下痢を起こしやすい食品もあります。カフェインもお腹に影響がありますし、清涼飲料やガムなどに入っている、フルクトースやキシリトールなどの甘味料、また乳製品に含まれる乳糖や、にがりや天然水などに含まれるマグネシウムもお腹が緩くなる原因になります。これらはすべて、便秘に効くといわれているもの。裏を返せば下痢になりやすいということです。頻繁に下痢になって困っておられる方は、これらの入った食品を避けたり、量を減らしたりすることも、予防につながると思います。

便秘に効く食べ物は、裏を返せば下痢になりやすい

おかしいなと思った下痢は、必ず内科を受診

血便、粘液、膿などを伴う便が出た場合や、発熱や腹痛がある場合は、すぐに病院に行っていただきたいです。また下痢が一週間以上続いた場合も、必ず受診してください。発熱や痛みがなくても、長期間下痢が続くと脱水症状が起こります。尿量が減ったり、頭がぼーっとしたりしてくると脱水症状が起こっている証拠。内科を受診しましょう。
下痢の原因は、急性では食中毒もあれば、俗にお腹にくる風邪といわれる胃腸風邪もありますし、慢性では、クローン病や潰瘍性大腸炎、乳糖不耐症や過敏性腸症候群、薬の副作用などもあります。それぞれの原因によって、対処法も薬も違ってきます。特に食中毒の場合は、悪いものを出すために下痢が起こっているので、無理に止めてしまっては逆効果。自己判断で安易に下痢止めなどの薬を服用せず、おかしいと思ったら、すぐに受診するようにしてください。

おかしいなと思った下痢は、必ず内科を受診

便を肛門付近に残さないことが、痔の予防に

痔ろうは、肛門の奥にある肛門陰窩(こうもんいんか)という窪みに便が入ることで起こります。下痢の軟便は、その窪みに入りやすいため、痔ろうになる確率も上がります。また、下痢、便秘に関わらず、肛門付近に便が残るのも良くありません。対策としては、便を残さず出し切ること。ただし、いきみすぎるのは良くありません。当院では、坐剤で出口の便を取り除いていますが、これにより痔ろうの症状が治まっている患者さんも多数おられます。便が残っているかどうかの基準は、紙で2回拭いてとれるかどうか。3回拭いても便がつく場合は、残っていると考えてよいでしょう。
また下痢便のときは、肛門周囲の皮膚が荒れてしまうため、勢いよく便が出ると、裂けてきれ痔になることも。硬い便のきれ痔とは違い、細かい傷がたくさんでき、皮膚炎を伴うことが多いです。こうした症状を避けるためにも、下痢のときは排便時に毎回、白色ワセリンなどを肛門周囲と中に少し塗るようにしてみてください。それだけでかなり症状が和らぐと思います。

※炭酸水素ナトリウム・無水リン二水素ナトリウム配合剤

便を肛門付近に残さないことが、痔の予防に

おしり付近の腫れや痛み、発熱は、膿がたまっているサイン

肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)の場合、下痢や軟便のあとに肛門のそばが腫れてどんどん痛みが増し、発熱を伴うことも。そうなれば、すでに膿がたまっている状態。たいていの場合は、切開排膿が必要になりますので、肛門科を受診するようにしてください。
肛門周囲の皮膚炎は、まずは予防することが大事です。温水洗浄便座の使いすぎにも注意。症状が改善するまで使用を中止することが望ましいです。どうしても使用しなければならない場合、水圧は一番弱く、温度も油分を落とさないよう常温にし、3秒で終えるのが望ましいですね。皮膚炎になってしまった場合は、まずは白色ワセリンなどの塗り薬で対処してみてください。症状が改善しないようなら肛門科もしくは皮膚科を受診しましょう。ただしステロイド外用剤の長期連用には注意を。

おしり付近の腫れや痛み、発熱は、膿がたまっているサイン
この記事の監修医師
佐々木 みのり先生

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