松島病院 大腸肛門病センター 香取玲美 先生

香取玲美先生
プロフィール
松島病院 大腸肛門病センター
  • 松島病院 大腸肛門病センター勤務
  • 日本大腸肛門病学会評議員・専門医・指導医
  • 日本外科学会外科専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
松島病院 大腸肛門病センター
〒220-0041
神奈川県横浜市西区戸部本町19-11

下痢の原因はさまざま。大腸がんが潜んでいるケースも

一般的には、暴飲暴食による消化不良や、冷たいものの過剰摂取によるお腹の冷えなどが下痢の原因です。また、乳製品や脂肪分の多い食事、アルコールなど、特定の食べ物が原因になることも。なかでも乳製品に関しては、乳糖不耐症のように、消化酵素の不足が原因となるなど、体質的に合わないケースもあります。
特殊なものになると、急性的なものではO-157やノロウイルスといった感染性の下痢や、大腸の血流障害から腸が炎症を起こし、出血や下痢になる虚血性腸炎があります。慢性的なものでは、潰瘍性大腸炎やクローン病、腸結核などの炎症性腸疾患や、ストレスなどによる過敏性腸症候群があります。また高齢の方のなかには、便秘により出口に硬い便が詰まり、そのすき間から流れ出る軟らかい便を下痢と勘違いしてしまっているケースも見受けられます。下痢の原因はさまざまですが、気を付けていただきたいのは便が細かったり下痢便が長く続いたりしているとき。実は大腸がんで腸が狭くなっていたというケースもありますので、注意が必要です。

下痢がきれ痔や痔ろうの原因に

下痢になりやすい人も原因によって変わってきます。虚血性腸炎の場合は、高血圧の方や高齢の方に多いですね。クローン病や潰瘍性大腸炎の場合は若い方が多く、特にクローン病に関しては男性が多いです。また過敏性腸症候群には「便秘型」や「下痢型」などがありますが、中でも下痢型は男性に多くみられます。
下痢が長く続くと、まずは脱水症状に気を付けなければなりません。またそれに伴う体内のミネラル分のバランス異常や栄養障害などが起こる危険性もあります。おしりに関していえば、下痢便による周囲の皮膚の炎症や、きれ痔が起こりやすくなったりもします。きれ痔は、おしりのケガのようなものなので、すぐ治るのであれば問題ありませんが、繰り返してしまうと慢性化し、肛門が狭くなり(肛門狭窄[こうもんきょうさく])手術になるので、気を付けてください。

下痢がきれ痔や痔ろうの原因に

暴飲暴食を避け、調理では充分な加熱や洗浄を

予防に関しては、一般的な下痢であれば、暴飲暴食や冷たいものを控えること。乳製品が苦手な方であれば、摂取量などに注意することも重要です。
感染性の腸炎の予防に対しては、まずはしっかり手洗いすること。その上で、カキなどの2枚貝を食べる際は中心部までよく加熱しましょう。鶏肉からはカンピロバクターという細菌に感染することがあるので、生で食べないこと。卵を生で食べる場合は、必ず表示されている期限内に食べてください。また特に幼児には、生のお肉や内臓を食べさせないように注意してください。
食中毒系のウイルスや細菌は、調理した手や器具にもつくので、食材を触った後の調理器具から広がるリスクもあります。調理中にしっかり洗うことも大切ですし、例えば焼肉を食べる際などは、焼くときの箸と、食べる箸を使い分けることも、予防になります。

出血が続く場合は、大腸がんの危険性も

出血が続く場合は、大腸がんの危険性も

1~2回の下痢が1日で済む程度なら、重篤なケースは少ないと思います。ただ、症状が強いときは脱水症状を起こす場合もありますので、早めの受診が良いでしょう。また痛みなどがなくても、下痢が続いたり、1日に十数回もトイレに行くような場合は、普通の状態ではありませんので、すぐに受診してください。
下痢の受診は、基本的には内科で良いと思いますが、おしりに痛みや出血の症状がある場合は、肛門科を受診されると良いと思います。紙にちょっと血が付いても、すぐに治る程度であれば問題ありませんが、それが繰り返し起こると、慢性化してしまうこともありますし、おしりではなく大腸から出血していることも考えられます。その場合は、大腸がんの危険性もありますので、出血源を特定する上でも、早めの受診をお勧めします。

トイレの最適な時間は1~2分。長い排便時間は痔の原因に

下痢から痔になる原因としては、まず排便回数の増加や長時間のトイレにより、肛門への刺激が増えることが挙げられます。また下痢便に含まれるアルカリ性の腸液が、肛門やその周囲につくことで炎症を起こしてしまい、皮膚炎やきれ痔につながることもあります。さらには、肛門周囲の血液がうまく循環せず、うっ血したり、血栓を形成することもあります。
トイレでは、便座に座っているだけで肛門が少し開き気味になるため、おしりにはかなり負担がかかりますから、長時間座らないことが大切です。適切な時間は、トイレに座ってから立つまでで1~2分。本当に排便したくなるまで待ってトイレに行き、すぐに出すぐらいを心がけましょう。またおしりを拭く際も、強くこするのではなく、ポンポンと押し当てるように拭くことが大切。それだけで、肛門への負担が軽減されます。

肛門周辺のトラブルも、自己診断せず受診がお勧め

いぼ痔、きれ痔、痔ろうと、痔にもいろいろありますが、排便時や排便後に痛みや出血があれば、きれ痔の可能性が高いです。繰り返して慢性化すると、排便後の痛みが1日中続くこともあり、放置していると肛門が狭くなる肛門狭窄を引き起こす原因にもなります。また腫れや痛みがある場合は、肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)や血栓性外痔核の可能性がありますし、肛門周囲がヒリヒリ痛む場合は、皮膚炎が考えられます。基本的に肛門周辺に何らかの症状が出ている場合は、肛門に病気のある可能性が高いので、肛門科を受診したほうが良いでしょう。
痔の薬に関しても、病態によっては効くものが違うことがありますので、注意が必要です。特に、肛門周囲膿瘍の場合は、緊急的に切開して膿を出さなければならない場合が多く、自己診断せず、すぐに受診したほうが良いでしょう。

肛門周辺のトラブルも、自己診断せず受診がお勧め
この記事の監修医師
香取 玲美先生

おすすめコンテンツ

ページトップへ戻る