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教えて!ドクター

草間かほるクリニック 院長 草間 香 先生

プロフィール

草間かほるクリニック 院長

2007年6月9日「草間かほるクリニック」を開設
日本外科学会外科専門医
日本大腸肛門病学会専門医
日本臨床肛門病学会技能認定制度認定医
内痔核治療法研究会
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
金沢医科大学特定教授

草間かほるクリニック
〒106-0045
東京都港区麻布十番3-5-1 バルゴ麻布ビル5F 

ストレスや食生活の乱れ、過度なダイエットも要注意

下痢の種類は大きく分けて3つあります。一つ目は、腸の蠕動運動がアンバランスになって起こる下痢。緊張やストレスからくる過敏性腸症候群がそれにあたります。これは仕事の責任が増える働き盛りの男性に多いのですが、女性が活躍する現在では、女性にも同様に増加しています。ストレス以外にも、食生活の乱れも悪影響を与えますので、例えば夕食が夜9時以降になるようであれば、軽めの食事で済ませて、あまり遅くに脂っこい食事や消化の悪いものは控える方が良いでしょう。二つ目は、粘膜の障害により水分が吸収されなくなり起こる下痢で、食物アレルギーや食中毒などが原因です。これは、年齢や性別に関係なく誰にでも起こりえます。三つ目は、腸内の浸透圧が高くなり、水分バランスが取れなくなる下痢で、下剤やダイエットサプリの過剰な摂取などが原因。特にダイエットに励む若い女性に多く見られます。こうしたケースでは、市販のダイエットの薬やサプリメントなどに頼らずバランスの良い食事をするよう指導しています。

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放置は悪化を招く原因。まずは原因が何かを突き止める

慢性的に下痢を繰り返す方は潰瘍性大腸炎やクローン病などの、炎症性腸疾患の可能性があります。国の難病に指定されていますが、今は腸の炎症を抑え症状を軽減し、炎症のない状態を維持できる有効な薬物療法がいくつも出てきています。ただ、年々増えてきているのも事実です。同じ下痢でも、便に血が混じっていたり、ずっとおなかが痛い場合などは受診した方が良いでしょう。また大腸がんといえば、大腸にできものができるので、便秘になると思われがちですが、体調が崩れて下痢になる場合もあります。おかしいと思ったら、すぐに受診して、腸の状態を調べてもらいましょう。
一方で、急にくる激しい腹痛や突発的な血便などは、ウイルスや細菌による感染性の腸炎が考えられます。感染性の場合は、むやみに下痢止め薬を服用すると、かえって良くないこともあります。この場合も、早期に受診し、正しい診断と適切な治療を受けるようにしてください。

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腸内環境を良くするような生活習慣が大切

まず日頃から、腸内環境を良くするような生活を心がけることが大切です。バランスの良い食生活をはじめ、ストレスを溜めないようにしたり、睡眠をしっかりとることも重要。もちろん、偏食や暴飲暴食などをしないようにするのも大切です。
なかには、アルコールを飲むとすぐ下痢をする方や、脂っこい食事で下痢をしてしまう方もおられますが、そんな方でも、量を飲まなければ大丈夫だったり、家の食事なら脂っこいものでも大丈夫というケースがあります。自分の適量を見極め、そこまででやめるようにすることも予防になります。腸に問題がない方でも、理想は腹八分目。もう一口食べたいというところで食事を終わらせることが、食生活の改善にもつながると思います。
また、テレビなどで「○○にはこれが良い!」という情報が流れると、そればかり食べる人もおられますが、何においてもそれだけで良くなることはありません。食事は常にバランスを考えてとるようにしましょう。

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いぼ痔は便秘より下痢の方が悪化するケースも

痔の原因といえば便秘をイメージしがちですが、硬い便を出す時と同様、激しく出る下痢の便も肛門に大きな負担がかかります。肛門の皮膚が裂けることできれ痔になりますし、下痢の便による細菌感染は肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)から痔ろうを引き起こします。さらにきれ痔を繰り返すことでも、そこから細菌が入り、痔ろうになる場合もあります。また、いぼ痔のある方は、便秘よりも下痢の方が症状を悪化させているケースがみられます。
そうした痔にならないためにも、まずは下痢を治し、快便となることが大切です。バランスの良い食事はもちろん、水分も1日1.5~2リットルを目安に、こまめにとるようにしましょう。下痢を起こしやすい方は、お腹を冷やさないように温かい飲み物にしたり、刺激物や飲酒を控えるよう心掛ける。食べ物で下痢をしやすいものがあるときは量を調節するのも良いでしょう。

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下痢と同時に肛門が変だと感じたときは、まずは肛門専門医に相談を

排便の際に、肛門に違和感や痛みを感じたり、おしりを拭いた紙に血がついたりした場合は、痔を発症している可能性があります。早めに肛門専門医の診察を受けましょう。
もちろん、下痢と痔が同時に起きる場合もあります。痔の原因と思われる下痢を改善させながら、痔の治療をするのが望ましいです。ただ、下痢が起こっている際に、坐薬や軟膏を使用すると、それが刺激になって、かえって下痢になりやすくなることもあります。また、下痢が続いている時は、坐薬を使用してもすぐに排便で出てしまうため、使用するタイミングにも気を付けなければなりません。こうしたケースでは、自己診断で薬を使うのは困難ですから、まずは医師に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。

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