いぼ痔の治療について

いぼ痔の治療について

いぼ(痔核)が出て、自然に戻らなければ受診のサイン1)

まずは生活指導や薬物療法により症状の軽減を図ります。これらの療法でも改善しない場合、また、いぼ痔(痔核)の症状を4段階に分類したGoligher分類で、グレード3以上の脱出症状がある場合は、個々の病態による主治医の判断や患者さんの意向にもよりますが、手術となる場合があります。

初期の段階。いぼ(痔核)の脱出はなく、痛みもない。排便時に出血する程度。

排便時にいぼ(痔核)は脱出するが、自然に戻る。

排便時にいぼ(痔核)が脱出し、指で押し込まないと戻らない。

いぼ(痔核)を指で押し込んでも戻らない。粘液が染み出すことも多い。
痛み・出血もなくなる。かゆみや不快感が常にある。

いぼ痔(痔核)の代表的な外科的治療法(手術)とそれぞれの内容

現在行われている、いぼ痔(痔核)の代表的な外科的治療法は下記の5つです。1)
主治医により術式の細かな手法・手順が異なる場合やこれ以外の術式もあるため、あくまで参考となります。

(1)結紮切除術
(2)ゴム輪結紮法
(3)Stapled hemorrhoidopexy(PPH法)
(4)分離結紮法
(5)硬化療法

【1】結紮けっさつ切除術1)

内側のいぼ痔(内痔核)がある部分の皮膚を切開し、肛門を閉じる働きをする内肛門括約筋を傷つけないよう、肛門の内側に向けていぼ(痔核)を剝がしていきます。その後、出血しないようにいぼ(痔核)の根元をきつく縛り、いぼ(痔核)を切除する手法です。
切開した場所の閉鎖方法は、下記のイメージ図では切開した部分を半分閉鎖する半閉鎖式を例示していますが、他にも複数の方法があります。

<好発する3ヵ所にいぼ痔がある場合>

手術前。3つのいぼ(痔核)が出ている状態。

皮膚を切開し、いぼ(痔核)を外側から少しずつ剝がしていく。

いぼ(痔核)の根元で血管をきつく縛り、いぼ(痔核)を切除する。

いぼ(痔核)をすべて切除した状態。

切開した肛門皮膚を縫合する(半閉鎖式)。

【2】ゴム輪結紮療法1),2)

メスを使わない療法のひとつ。いぼ(痔核)の根元を輪ゴムできつく縛り、血流を止めることによっていぼ(痔核)を壊死・脱落させる方法です。輪ゴムがかからないほど大きな内側のいぼ痔(内痔核)や、痛みを感じる外側のいぼ痔(外痔核)には使用できないと言われています。

内側のいぼ痔(内痔核)の根元に、輪ゴムをかけて縛る。
輪ゴムで血行を遮断されたいぼ(痔核)は1~2週間で壊死し、輪ゴムとともに取れ、便と一緒に排泄される。

【3】Stapled hemorrhoidopexy(PPH法:Pocedure for Prolapse & Hemorrhoids)1),2)

痔や脱肛治療のための、専用の器具を使用します。筒状の器具を肛門内に挿入し、ゆるんだ直腸粘膜を筒の中にはさみ、約2㎝幅で直腸粘膜を輪切りにして切除します。その後上下を吻合し、内側のいぼ痔(内痔核)を持ち上げることで、いぼ(痔核)を脱出させないようにします。

歯状線を越えて垂れ下がった内痔核

たるんだ直腸粘膜を器具内に挟み込み、内痔核をもとの位置に戻し、内痔核の上の直腸粘膜を筒状に約2cm切除し、切除した上下の粘膜(AA'、BB')を縫合する

AA'BB'で縫合された直腸に引っぱられ、歯状線を越えていた内痔核はもとの位置に戻る

【4】分離結紮法1),3)

古典的痔核結紮術とも呼ばれている治療法です。
局所麻酔薬を注射した後にいぼ(痔核)を脱出させ、その根元に糸を2重にした針を通します。その後2本の糸をそれぞれ反対方向に引っ張り、いぼ(痔核)の根元をきつく縛って血流を阻害します。血流が止まったいぼ(痔核)は、10日前後で壊死し脱落します。
内側・外側のいぼ痔(内痔核・外痔核)に広く対応できると言われています。

いぼ(痔核)を肛門外に脱出させ、根元が見えるように引き出す

針を引っ張ったいぼ(痔核)の肛門内側から外に向かって刺通して2本の糸を通す

2本の糸を互いに反対方向に分割する

それぞれの糸でいぼ(痔核)の根元をきつく縛る

血流が阻害され、いぼ(痔核)が壊死して脱落する

【5】硬化療法-ALTA療法 5%PAO硬化療法1),2)

内側のいぼ痔(内痔核)に対し、注射でいぼ(痔核)を硬化、縮小させる療法で、ALTA療法や5%PAO硬化療法などがあります。

【参考】
1)肛門疾患・直腸脱診療ガイドライン2020年版
2)よくわかる最新医学 新版 痔: 平田雅彦
3)「おしりの病気」アトラス 見逃してはならない直腸肛門部疾患: 稲次直樹

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